色眼鏡
その瞬間ハッと息を飲んだ。


この人はお店の店員さんだ。


夢の中でそう気が付いた。


このシチュエーションもどこかで見たことがある。


だけどしっかりと思い出す事ができない。


「契約を行えば、お前の記憶は一時的に失われる。しかし、眼鏡を手にすれば徐々に思い出して行くだろう」


男の声が聞こえて来る。


契約、記憶、失われる。


なにを言っているのかわからない。


混乱するあたしをよそに、夢の中のあたしは頷いた。


男がニヤリと口角を上げて笑う。

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