色眼鏡
そう言われてあたしは自分の頬に手を当てた。


「うん……」


「今日も休んだ方がいいんじゃない?」


「でも、1人でいたら余計なこと考えちゃいそうで、怖くて……」


あたしは自分の体を抱きしめた。


忘れていることが、なにかとても大きなことのように思えてきていた。


「それなら一緒にいてあげようか」


少し考えていた夏生がそう言って来た。


「え?」


あたしは驚いて夏生を見た。


「たまにはサボっても怒られないでしょ。普段から真面目に勉強してるんだし」


そう言うと、玄関へと入って来たのだ。
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