色眼鏡
「つまり、里菜は何かを忘れてるってことなんだね」


「そうみたい。だけど何を忘れているのかわからないし、思い出そうとしたら頭が痛くなるの」


「それなら、無理に思い出さなくてもいいんじゃないかな」


夏生がそう言い、ペットボトルのお茶をひと口飲んだ。


「でも、早く思い出さなきゃいけないような気がするんだよね」


「1人で思い出そうとするのは無理だから、過去の里菜の行動を調べてみればいいよ」


「過去のあたしの行動?」


「うん。スマホ貸して」


夏生にそう言われて、あたしはスマホを手渡した。


「例えば友達とのやりとりとか、検索したサイトとかさ」


「そっか。そういうのを見て行けば自分がなにをしてたのかわかるんだ」
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