色眼鏡
「大丈夫だよ。ゆっくりでいいから」


夏生がそう言ってあたしの背中をさすってくれた。


その瞬間、体に電気が走ったような衝撃を受けた。


ビクンッと体を撥ねさせて目を見開く。


目の前に昔の映像が蘇って来た。


『里菜、早く来いよ!』


あれは晃だ。


幼稚園の頃の晃が小さなあたしを手招きしている。


『里菜は本当にどんくさいなぁ』


次は小学生。


晃が怪我をしたあたしを手当てしてくれている。
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