色眼鏡
その感情を思い出した瞬間、今まで忘れていたことが雪崩のようによみがえって来た。


願いが叶うサイトに書き込んだあたし。


数日後に返事が来て、男性と会う事になった。


だけど約束場所の指定はされず『君は家にいればいい』とだけ伝えられた。


そして風のように現れたのが、あの男性だったんだ……!


フサエさんや安田さんに先に眼鏡が渡ったのは、彼らが被験者だったからだ。


『完成すればこれを君に渡しに来る』


その言葉が鮮明に思い出された。


そしてあたしの記憶は一時的に消されたんだ。


「あたし、知ってたんだ……。あの人がこの世の人じゃないってこと、最初から知ってたんだ!」


すべてを思い出し、あたしは自分の体を抱きしめた。
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