色眼鏡
☆☆☆~夏生サイド~


今から5年前、1人の少女が死んだ。


名前は安東夏生という。


そのタイミングで、俺のところへ依頼が来た。


人の本心が聞こえる眼鏡を作ってほしいという依頼だった。


人間の欲望には興味があった。


地獄へ落ちて来る人間は一様に無様で情けなくて、醜くて。


そんな人間がどんな思考で生きているのか見て見たいと思った。


だから俺は眼鏡を作る引き換えに、そいつの欲望を見せてもらう事にしたんだ。


一番近くで、一番信頼のおける友人として観察するため、俺は安東夏生という入れ物を借りたんだ。
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