色眼鏡
☆☆☆

駅前の耳鼻科に入って行くと数人の患者さんが待っている状態だった。


このくらいならすぐに読んでもらえそうだ。


あたしは受付に診察券を提出してソファに座った。


どうせだから今日の課題を終わらせておこう。


そう思い、膝に鞄を置いてノートと教科書を取り出した。


そんなに広範囲な課題じゃないからすぐに終る。


「こんな所で勉強して、なに考えてるのかしら」


そんな声が聞こえてきて、あたしは咄嗟に周囲を見回した。


誰もあたしのことなんて見ていないし、口を開いている人もいない。


でも、ハッキリと聞こえて来た声だった。
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