色眼鏡
「今、誰かが『死ね』って言ったよね?」


「え? そんなの聞こえなかったよ?」


美穂はキョトンとしている。


うそ、あれだけ大きな声だったのに……?


あたしは教室内を見回してみた。


しかし、みんなそれぞれ楽しそうにおしゃべりをしていて、『死ね』なんて言葉を言った生徒がいるとは思えなかった。


「昨日から変だよ里菜」


「ごめん。たぶんあたしの気のせい」


あたしはそう返事をして、無理やり笑顔を作ったのだった。
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