色眼鏡
「あのさ美穂。アヤも悪いかもしれないけど、あんまり言うのはやめた方がいいかも」


せっかく今までイジメのないクラスでやって来たのだ。


これがキッカケでアヤがクラスからのけ者扱いされるかもしれない。


「ほんと、楽しくなってきたよねぇ」


ウキウキとした美穂の声にあたしは目を見開いた。


「楽しい……?」


「え? 何ってんの里菜。こんなの楽しいワケないじゃん」


美穂が怪訝そうな顔でそう言った。


「そ、そうだよね!」


ハッとしてそう返した。


今のは美穂の本心だったんだろうか。


美穂は美羽たちの仲間割れを楽しんでる……?


「じゃあ、お大事にね」


「うん。ありがとう」


あたしはそう言い、美穂の後ろ姿を見送ったのだった。
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