色眼鏡
みんなの本音らしきものが聞こえて来る。


そんなこと、お母さんにだって相談できなかった。


「時々話が聞こえないときがあるから、今週は大人しくしてることにしたの」


「そうなの」


それからあたしは1日をダラダラ過ごしてしまった。


テレビを見て、昼寝をして、気が付けばもう夜が来ていた。


普段なら美穂たちと遊びに出かけて、ストレスを発散して戻って来る頃だ。


「明日は買い物に行こうか」


1人でいたあたしを気にしてか、お母さんがそう言って来た。


明日も家から出ないつもりでいたけれど、漫画の新刊が発売されていることを思い出した。


漫画があれば時間も潰せる。


「そうだね行こうか」


あたしはそう返事をしたのだった。

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