色眼鏡
ツルがべっこう色の眼鏡は美味しそうに見える。


ルツが青い眼鏡は深い海のようで、見ていて安心できた。


「すごい。どれもこれも、見たことがない商品ばかり」


「はい。当店ではどこの店でも取り扱いのない、一点ものばかりを用意していますので」


男性にそう言われて、どの商品にも値札がついていないことに気が付いた。


一点ものということは、相当高いはずだ。


とっても綺麗だけれど、この店で買う事はできそうにない。


そう思った時だった。


赤いフレームの眼鏡が視界に入って来た。


他にも赤色の眼鏡は置いてあるのに、店の一番奥の棚に並べられていたそれがやけに気になった。
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