色眼鏡
気が付く
学校の近くの空き地の前であたしは立ち止まった。


数日前あたしはここにあったお店で眼鏡を買もらった。


けれどそのお店は跡形もなく消えて、元々存在していなかったかのようだ。


「でも、絶対にここで買ったよね……?」


あたしは自分自身に訊ねるように呟いた。


なんだかその時の記憶がひどく曖昧になってきている気がする。


「そうだ。ここでもらって、その時の店員さんが黄金色の服を着て……」


そう呟き、頭の中が混乱する。


違う。


店員さんが黄金色の服なんて着るワケない。


でも、なぜかその映像が頭の中に流れ込んできたのだ。
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