色眼鏡
だとしたら、晃と一緒に登校してきたあたしを見て、どう感じただろうか。


そう考えると冷や汗が背中を流れて行った。


あたしはそっと眼鏡に手を伸ばす。


怖い。


だけど、知らないままでいることは、もっと怖いことだった。


本心を隠されて、知らない顔をされて、仲がいいフリをされるのは、嫌だ。


あたしは小さく震える指先で眼鏡を取った。


ゴクリと唾を飲みこんで、眼鏡をかける。


「里菜も可愛いし、付き合っちゃえばいいのに(里菜と晃が付き合うなんて絶対に似合わないけどね)」


美穂の言葉に奥歯を噛みしめた。
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