色眼鏡
美穂も他のクラスメートたちと同じだ。


あたしの胸がきしんだ。


もう本心なんて聞きたくないと悲鳴を上げている。


「幼馴染の男の子との恋愛なんて憧れちゃうよね(あたしと晃ならよかったのに。なんで里菜なの?)」


あたしは意識的に呼吸を繰り返した。


眼鏡を取ろうとする指か微かにしびれている。


「(調子乗って)」


「(ほんとムカつく)」


「(バーカ)」


襲い掛かって来る、言葉の刃。


「里菜?」


美穂の言葉に返事をすることもできず、あたしはそのまま倒れてしまったのだった。
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