色眼鏡
「あたしは見学だから大丈夫。だから里菜を呼んで来てって頼まれたの」


「そうだったんだ……」


みんながあたしを待っているなんて、思えなかった。


晃と一緒に登校してきた時の、あの言葉を思い出すとキュッと心臓が痛くなる。


「まぁ、無理はしなくていいけど、一応伝えたから」


夏生はそう言って保健室を後にしたのだった。
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