双子姉妹
「あのさ心ちゃん」


「なに?」


「制服の貸してあげたから、今度はあたしからお願いがあるの」


「お願い?」


あたしはクッキーをつまんでそう聞いた。


「うん。明日1日だけ、あたしたち交代しない?」


その言葉に、あたしはクッキーを喉に詰まらせそうになってしまった。


慌てて紅茶を飲んで流し込む。


「交代って……?」


「入れ替わるの! あたしが心ちゃんになって、心ちゃんがあたしになるの!」


目を輝かせてそういう小春ちゃん。


あたしは目を丸くして小春ちゃんを見た。


「本気で言ってるの?」


「もちろんだよ! あたし、心ちゃんみたいな生活にずっと憧れてたの。友達がいて、彼氏がいて、仲のいい家族がいて……」


「でも、小春ちゃんにも友達はいるでしょ?」


「もちろん。彼氏だっているよ?」


照れくさそうにそう言う小春ちゃん。


「でもさ、こうやって花火とかはしたことないの」


「どうして?」


「だって、あたしも彼氏も家が家だから……」
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