双子姉妹
そう言って俯いてしまった。


両方とも有名な家なのだろう。


あたしと涼太のように公園で花火をするようなデート、したことがないのだ。


そう思うと少しだけ可愛そうな気がしてきた。


それに、このお屋敷に来てもいつでも小春ちゃんの両親の姿はない。


「……1日だけだよ?」


あたしはそう言っていた。


「うん! もちろん!」


小春ちゃんはパッと表情を輝かせてそう言った。


「明日N女は休みだから心ちゃんはこの家を好きに使っていいよ。服も着てみて好きなのがあればあげるから!」


「いいの……?」


隣の部屋の光景を思い出す。


あそこにはあたしのほしい服が山ほどあった。
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