双子姉妹
☆☆☆

支配人という人に連れられてきたのは個室だった。


人の喧騒が聞こえない代わりに、静かなクラシック音楽が流れている。


そんな中、あたしは大きなソファに1人座らされた。


あたしは買い物に来たのに一体ここはどこなんだろう。


そう思っていると、支配人がタブレット端末を持って来て目の前のテーブルに置いた。


「商品はこちらでございます」


そう言って、静かに部屋を出て行く。


あたしはタブレット端末に手を伸ばした。


画面に触れてみると、このビルに入っているお店の一覧が出て来た。


どうやらこれで選んで購入することができるらしい。


「こんなシステムがあったんだね」


思わずそう口に出すと、近藤さんが首をかしげ「いつもこれで買い物をなさっているじゃないですか」と、言って来た。


そうだったんだ。


焦りを隠すようにタブレットを見つめる。
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