双子姉妹
☆☆☆

すでに見慣れた小春ちゃんの部屋に入ると、椅子の上に黒いワンピースが準備されていた。


体のラインにピタッとフィットするタイプのワンピースで、背中は大きく開いている。


「なにこれ。こんなドレスみたいな恰好でデートに行くの!?」


驚いて、思わず声が大きくなってしまう。


「いつもこれくらいの格好じゃないと、武人は満足してくれなくて」


小春ちゃんは申し訳なさそうだ。


「でも、これはいくらなんでも似合わないよ」


手に取り、自分の体に当ててみる。


華奢な体のラインが見えても、魅力的でもなんでもない。


こういうのは成熟しきった女性が着るものだと思っていた。


「メークと髪型でなんとかするから大丈夫。とりあえず、着てみて」


小春ちゃんにそう言われ、あたしは渋々着替えを始めた。
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