双子姉妹
挨拶をする暇もなく椅子に座らされ、コットンで顔を拭かれ、メークが進んでいく。


文句を言う暇だってなかった。


気が付けばあたしのメークは出来上がっていて、鏡の前に立つ黒いワンピースがよく似合う、大人の女が立っていた。


髪の毛は後ろでアップにされ、実年齢より5歳は年上に見えた。


「いいじゃん心ちゃん!」


いつの間にか着替えをしている小春ちゃんが手を叩いてそう言った。


「小春ちゃんのデートって、毎回こうなの?」


「まぁね。それも疲れる原因の内に入るかなぁ」


そう言って苦笑いを浮かべる小春ちゃん。


確かに、デートの度にこんなことをしていたらキリがないだろう。


小春ちゃんの家だからこそ、できることだ。
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