双子姉妹
教室から移動して慌てて電話に出てくれたのだろう。


「ごめん小春ちゃん。まだ授業中だよね?」


『うん。でも大丈夫だよ、保健室に行くって言って出て来たから』


「ごめんね。時間を全然見てなかった」


『気にしないで。それよりもどうしたの?』


授業中に電話をしてくるなんて、よほど重要な用事だと思われたのかもしれない。


小春ちゃんの声は真剣だった。


「あのね小春ちゃん……今日1日学校にいて、どうだった?」


申し訳ない気分になりながらも、あたしはそう質問をした。


『え? どうって?』


「なんか、気分が落ち込んだりとかしなかった?」


『あぁ……。実は心ちゃんの学校の方が楽しかったなって感じてた』


薄情するように小春ちゃんはそう言った。
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