双子姉妹
「でも、もったいないよ。1度も着てないのに捨てるなんて」


「そういうところ、庶民的で好きだな」


『庶民的』という言葉にひっかかった。


お金がいくらでもあると、物は買って捨ててを繰り返していればいいのだろう。


『もったいない』そんなこと、考えていないのかもしれない。


「でも、よかったよな」


「なにが?」


「服を貰ってくれる友達ができたって、言ってたじゃないか。隣街の子だっけ?」


その言葉にドキッとした。


それはきっとあたしのことだろう。


小春ちゃんはあたしのことを、『服を貰ってくれる友達』だと言っていたのだ。
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