双子姉妹
☆☆☆

その後、武人君からあたしの話題が出て来ることはなかった。


予定通り景色のいいレストランでディナーを食べ、デザートに差し掛かっていた。


今日も最高の1日だった。


来週の土曜日にはどんなデートができるんだろう。


そう思うと、今から楽しみで仕方がない。


あたしの事を悪く言った事は、もうすでに忘れていた。


思えば武人君の言う通りだ。


どうして小春ちゃんは去年の服を大切に持っているんだろう。


新作ばかりを買えばいいのに。


「今日は楽しかったよ、ありがとう」


シャーベットを食べ終えた武人君がそう言って来た。


「あたしこそ、今日も沢山買ってもらって、ごめんね」


「どうして謝るんだよ。俺が小春にあげたいから、あげたんだよ」


武人君はそう言って笑った。
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