双子姉妹
「で、でも、今日は心の準備ができてないから」


あたしは武人君が部屋を準備していると言っていたことを思い出して、慌ててそう言った。


「も、もちろんだよ。そんなに焦るつもりはないから。小春が、ちゃんと結婚が決まってからじゃないと嫌だって気持ち、俺わかってるし」


そうだったのか。


小春ちゃんは結婚が決まるまで武人君とも関係を持たないようにしていたのか。


驚いたけれど、お嬢様らしい考え方なのかもしれない。


これで、あたしが未経験だとバレたとしても大丈夫だ。


それからあたしたちは一緒にレストランを出て、近くの公園を散歩した。


車を待たせているから長いはできないと、互いに理解していた。


時間制限に急かされるようにして、武人君が手を握りしめて来た。


2人の足は自然と止まり、向き合う形になった。

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