双子姉妹
周囲からはなにも聞こえてこない。


とても静かな夜だった。


「キス、していい?」


囁き声に心臓がドクンッと跳ねる。


「……いいよ」


あたしはコクンと頷いてそう答えた。


小春ちゃんだって涼太とキスをしたのだ。


武人君とキスをするくらい、どうってことない。


そう思い、目を閉じるとすぐに暖かな感触が唇に振って来た。


涼太よりもふっくらとした唇だ。


それは軽く触れただけで、すぐに離れて行った。


ゆっくり目を開けてみると、真っ赤な顔になった武人君が俯いている。
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