双子姉妹
「どうしたんだよ?」


武人君は不思議そうな顔を浮かべている。


「ど、どういうこと? あたしたち、好きで付き合ってるんじゃ?」


そう聞いた瞬間、武人君は大きな声をあげて笑い出した。


「今更何を言ってるんだよ小春。互いに会社のためだって言って付き合い出したじゃないか」


おかしそうにお腹を抱えて笑う武人君に、あたしは愕然としてしまった。


最初から、会社のための付き合いだった……?


武人君から受けた数々のやさしさは小春ちゃんのためじゃなく、会社のためだった?


そんなの信じられなくて、言葉を失っていた。


「体の関係になれたら、ちゃんと好きになれたってことだって、言ってたじゃないか」


「そ……んなの……」


そんなの、知っていたら武人君の事を好きになんてならなかった。


会社のための関係なら、ホテルまでついてくることなんて、絶対になかった!
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