双子姉妹
見ると武人君は今まで見たことがないくらい目を吊り上げ、あたしを睨み付けている。


素直に怖いと感じた。


「今までいくらお前につぎ込んできたと思ってんだよ! 全部この時のためだったんだろ!? 優しくしてたのだって、別にお前のためじゃねぇんだよ! 全部会社のためだって、お前だって理解してたんだろうがよ!?」


ベッドから下りてあたしに詰め寄る武人君。


恐怖が体の底から湧き上がってくるのを感じて、あたしは部屋から飛び出した。


どこをどを走って来たかなんてわからない。


がむしゃらに走っていると、駅まで来ていた。


ようやく立ちどまり、振り返る。


武人君は追いかけてきていない。


あたしは大きく息を吐き出してベンチに座り込んだ。


こんな時間、始発だってまだ動いていない。


「なんで、こんなことになったの……」
< 225 / 269 >

この作品をシェア

pagetop