双子姉妹
☆☆☆

数週間帰ってきてなかっただけなのに、自分の家はとても懐かしく感じられた。


小春ちゃんの家に比べればとても小さな家。


だけどその家には明かりが灯っていた。


お父さんとお母さんの笑い声が聞こえて来る。


それだけで涙が滲んできた。


あたしの帰る場所はここしかない。


あたしは玄関の前に立ち、深呼吸をした。


自分の家に帰るのに緊張するなんて、ちょっとおかしくて自分で笑ってしまった。


あたしは手の甲でグイッと涙をぬぐい、自分の部屋を見上げた。


今から帰るんだ。


本当の家に。


玄関を開けて「ただいま」と声をかけた。
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