双子姉妹
「誰?」


その声と一緒にリビングのドアが開き、お母さんが出て来た。


久しぶりに見るお母さんに押し込めていた涙がまた浮かんでくる。


「お母さ――」


「お母さん、お客さん?」


楽し気な声が聞こえてきて、小春ちゃんが顔を出した。


あたしの服を着て、あたしのお母さんの肩ごしから顔を出している。


でも、なにかが違う。


見た瞬間そう感じた。


最初、写真で見た時のホクロ、鼻の筋の違い。


それらが一切なくなっているのだ。


驚きで声がでなかった。


小春ちゃんは、完全にあたしの顔になっていたのだ。


「あら、心の友達かしら?」


あたしを見て、お母さんがそう言って来た。
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