双子姉妹
それからあたしたちは他愛のない会話をして丘の上まで来ていた。


空はオレンジ色が混ざりはじめている。


丘の上から街を見下ろすと、とても小さくまるでジオラマのようだった。


「入って入って」


小春ちゃんに促され、あたしは屋敷へと足を踏み入れる。


相変わらず大きな屋敷だ。


あたし1人ならきっと迷子になってしまうだろう。


そんな事を思いながら小春ちゃんについて部屋まで移動した。


小春ちゃんは隣の部屋以外にもクローゼットがあり、頻繁に着る制服などは自室のクローゼットにしまわれているようだった。


「これ。絶対に心ちゃんにも似合うよ」


そう言ってN女の制服を差し出してくれた。


持った瞬間、心臓がドキンッと大きく高鳴った。


自分の制服じゃないのに、まるで自分がお嬢様になったような気分がした。
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