双子姉妹
ここを縫い終われば完成だ。


「心って結構すげぇんだな」


すでに完成している衣装を手に取り、涼太がそう言った。


「なにが?」


「こんな服作れるなんて、すごいだろ」


「そう? 高校に入学して家庭科の授業で縫い方を習ったからだよ」


家庭科の授業は男女別になっているから、涼太は習っていないけれど。


「それにしても……んなつーの? 魔法、みたいな?」


突然そう言われてあたしは噴き出してしまいそうになった。


「なに言ってんの涼太」


涼太らしくない、ロマンチックな言葉に笑いが止まらない。


涼太は照れたように頭をかいている。


「あとさ、仮装用のスカート気になったんだけど」


照れたせいか、すぐに話題を変えて来た。
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