加工アプリ
廊下は黒山の人だかりとなっていた。


あたしは女子生徒たちの隙間を縫うようにして中央へと急いだ。


どれだけ変化しているのか楽しみだ。


「あ、荒川さん」


そう言われてあたしは目を丸くした。


女子たちの中央にいたのは芸能人よりもずっとカッコいい男子生徒だったのだから。


それは間違いなく昨日あたしが加工した九条君の顔そのものだった。


自分で加工したのに、目の前の男子生徒に固まってしまっていた。


冴えないタイプの九条君の面影なんて、どこにもない。


そこに立っているだけでキラキラと輝いてみえる。


「俺だよ、九条だよ」


九条君は困った顔でそう言って来た。
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