沈黙する記憶
☆☆☆

僕は途中でホームセンターに立ち寄り、スコップを買った。


スコップ1つだけじゃ怪しまれると思い、園芸用の土も一緒に買った。


それらを後部座席に置いて、再び車を走らせた。


太陽が落ちてきて周囲が薄暗くなった時、僕は山奥へと入ってきていた。


さっきから車は一台も通らないし、街灯もついていない。


人の気配がなく、肌がヒヤリと寒くなるような薄暗い場所だった。


僕は狭い道の真ん中に車を止めて、スコップを手に山へと足を踏み入れた。


年中陽が当たらないのか、じめじめしていて歩くと地面から水がにじみ出て来た。


全然人が入っていないのか、木が生い茂り、歩く事も困難だ。
< 10 / 229 >

この作品をシェア

pagetop