沈黙する記憶
「杏で間違いないと思います」


あたしはハッキリとそう言った。


「やっぱり、そうよね? あの子、なんでこんな所まで行ったのかしら……」


杏のお母さんは不安そうな表情になってそう呟いた。


あたしは夏男を見た。


「なに?」


「杏とこんな遠くで待ち合わせなんてしないよね?」


「するわけないだろ」


夏男がハッキリと否定する。
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