沈黙する記憶
ポイントカード
裕斗が考え込んだとき、克矢がズボンのポケットから財布を取り出した。


二つ折りのブランド財布だ。


「あの辺のホテルのポイントカードを持ってるぞ」


そう言い、財布の中からポイントカードを1枚取り出した。


スタンプを押していくタイプのポイントカードだ。


「このカードなら、最後にホテルを利用した日にちが書かれるんだ」


そう言って克矢はカードを開いて見せた。


たしかに、利用した日時がボールペンで書かれている。


「これはなんていうホテルのカードだ?」


「プリンセスホテルだよ」


そう言い、克矢は少し恥ずかしそうに頭をかいた。
< 106 / 229 >

この作品をシェア

pagetop