沈黙する記憶
裕斗には彼女がいないのにどうして?


なんて疑問が浮かんでくるけれど、杏が無事に戻ってきた時にゆっくり聞く事にしよう。


「店員さんに会わないってことは、誰にも見つからずに出入りできるってことだよね」


さやがすぐにそう言った。


「そういう事だよね」


あたしは頷く。


「例えば、夏男がこれと同じポイントカードを持っていたとしたら? その日付の最後が杏のいなくなった日にちが書かれていたとしたら?」


克矢がそう言い、他の全員が目を見開いた。


「夏男が犯人だって言っているの?」
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