沈黙する記憶
パキパキと小枝を踏みしめながら僕は奥へと進んでいく。


あまり奥に入りすぎても迷子になってしまうから、細心の注意を払って周囲を観察していた。


「この辺でいいか……」


歩きなれない山の中を歩き、額に汗が滲んでいる。


僕は大きな木の前で立ちどまり、一度そこへ座り込んだ。


杏の体を切り刻むだけで随分と体力を消耗してしまい、体中が痛い。


「どうしておろせる時期に教えてくれなかったんだよ」


僕はブツブツと呟きながら、穴掘りを開始した。


杏は僕と結婚したかったのかもしれない。
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