沈黙する記憶
記憶障害
裕斗の提案により、あたしたちは夏男の家に前に来ていた。


みんなでこうして夏男の家に来たのは久しぶりな事だった。


確か、最後にここに集まったのは去年の夏男の誕生日だった気がする。


みんなでサプライズパーティーをしたんだっけ。


その時の事を思い出して、あたしはほほ笑んだ。


裕斗も克矢も夏男も調子に乗ってひょっとこのお面を付けて踊り始めたんだった。


楽しかった記憶はどんどん蘇って来る。


だけど今は、みんなの表情は硬かった。


今から夏男にすることを考えると胸が痛い。


あたしたちは今完全に夏男を疑い、ここまで来たのだ。


「行こう」
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