沈黙する記憶
「度々すみません。みんなも夏男の様子が気になってたみたいで、連れてきちゃったんですけど大丈夫ですか?」


裕斗が申し訳なさそうにそう言う。


演技をさせれば一番上手なんじゃないかと感じさせた。


「あら、そうなの。みんなありがとう。夏男は2階にいるわよ」


そう言い、何の疑いも見せずにあたしたちを家に上げてくれる。


「夏男、大丈夫?」


あたしはそう声をかけながら部屋のドアを開けた。


部屋の真ん中で座っていた夏男が振りかえる。


昨日も会ったばかりなのに、更に老け込んだように見えた。


部屋の中にはゴミが散乱し、座るような場所はなかった。


しかたなく、あたしたちはゴミを部屋の隅へと移動してそこに座らせてもらう事にした。


「夏男お前大丈夫かよ」


克矢は夏男の姿を見て眉を下げた。
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