沈黙する記憶
「当日にしかやっていなかった番組か……」


そう呟き、目を閉じる。


懸命に思い出そうとしているようだが、何も出てこない。


一日中テレビを見ていてニュース番組の内容しか覚えていないのは、違和感がある。


「ねぇ、夏男……」


あたしがそう声をかけた時、突然夏男が両手で頭をかかえてうずくまった。


「夏男、どうした?」


裕斗が焦った声を上げる。


しかし夏男は返事をしない。


「ちょっと……夏男?」
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