沈黙する記憶
☆☆☆

時計の針を見ると11時を過ぎたころだった。


いつもより時間が経過するのが早く感じられる。


時計を確認するたびにあたしの心臓はドクドクと早くなり、緊張から水を飲むのもつらくなる。


「千奈、あたしたちがいるから大丈夫だよ」


由花がそう言い、あたしの手を握りしめる。


「うん……」


あたしは頷き、そしてぎこちなくほほ笑んだ。


夏男との約束場所はKマートだ。


それはいい。
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