沈黙する記憶
それからお昼まで、あたしたちは他愛のない会話を続けていた。


徐々に緊張はほぐれていき、その時間になった。


「そろそろだね」


由花が時計を確認して言う。


「うん」


あたしは頷き、スマホを取り出した。


夏男向けのメール画面を表示させ、呼吸を整える。


《おはよう夏男! 今日杏からKマートで夏男を待っているって連絡があったよ! 昼の1時頃に来てって!》


そんな文章を打ち込んで、送信した。


「あたしたちも移動しよう」


由花がそう言って立ち上がり、あたしとさやもそれに続いて動き出したのだった。
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