沈黙する記憶
そこには白い花柄のワンピースをまとったマネキンが横たわっている。


すぐにマネキンだとわかるけれど、その頭には杏と同じような髪型のウィッグがかぶせられ、ちゃんと目や口が描かれているリアルなものだった。


「これって?」


「千奈の身代わり人形だ。Kマートで合流してホテルの入り口までは千奈1人で行動してもらって、隙をついてホテルの部屋にこのマネキンを設置するんだ」


「そんな事、うまく行くの?」


あたしは克矢を見た。
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