沈黙する記憶
「今、夏男とホテルの部屋にいるの」


『わかってる。今マネキンを持ってそっちに向かっているから、夏男に風呂でも入るように言って、部屋にいないような状況を作ってくれ』


「……やってみる」


ここはホテルだ。


お風呂を進めても違和感はない。


『千奈』


「なに?」


『電話は切るなよ?』


「うん、わかってる」


あたしはそう返事をすると、通話状態のままワンピースのポケットにスマホを入れた。
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