沈黙する記憶
「そんな……それじゃぁ杏は……」


さやが震えた声でそう言うが、誰も返事はしなかった。


杏はもうこの世にいないかもしれない。


その可能性があたしたちに重たくのしかかって来る。


だけど、ここまで来て辞めるわけには行かないと言う事も、もう全員が理解している事だった。


やがて夏男の車がホテルから出てきて、克矢がそれを追いかけるように車を走らせた……。
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