沈黙する記憶
「さやと由花は家が同じ方向だよな? 2人で帰れるか?」


「大丈夫だよ。なにかあったらさやはあたしが守るから」


由花が自信満々にそう言い、さやの手を握った。


「頼む。千奈は俺が送って行く。克矢と夏男は1人で大丈夫だな?」


「あぁ。俺は大丈夫だけど……」


克矢が夏男を気にしている。


夏男は返事もせずうつむいたままだ。


「仕方ないから俺が夏男の家を経由して送っていってやるよ」


克矢がそう言うと、裕斗は「頼むよ」と、言ったのだった。
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