沈黙する記憶
なるほど。


たしかにその通りだ。


危ない乗り物はできるだけ避けていたかもしれない。


「だけどこの暑さで夏男の家まで歩くのは大変だよね」


「俺も、そう思ってた所だ」


裕斗はそう言い、汗をぬぐった。


杏がいなくなった日も今日くらい暑かった。


杏から夏男の家までは徒歩で30分ほど。


しかも杏は妊婦だ。


途中で休憩を挟まないとたどり着かないんじゃないだろうか。


「杏はどうしてこんな時間を選んだのかな」


「午前中は予定があったとか?」
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