沈黙する記憶
そうかもしれない。


夏男はずっとテレビを見ていたと言っていたから、杏の方に何か予定があったのかもしれない。


「信号か……」


赤信号でたちどまり、あたしたちはスポーツドリンクを飲んだ。


外に出ているだけでコンロで肌を焼かれているような感じだ。


こんな中、本当に杏は歩いて夏男の家に向かおうとしていたのかどうか、自分たちの推理に疑問が浮かんでくる。


あたしはふと思い出してスマホを取り出した。


そう言えば、今日は杏に連絡を入れていない。
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