沈黙する記憶
☆☆☆

杏の家から夏男に家までの区間に危険そうな場所はなかった。


それ所か、この暑い時間帯に妊娠している杏がこの距離を歩く事は考えにくいと言う結果に終わってしまった。


あたしと裕斗は近くのファミレスに入り、ようやく汗がひいたところだった。


「これじゃ歩けないだろうなぁ……」


裕斗は日差しの強い外の景色を見てそう呟いた。


「杏は裕斗の家まで行っていないってこと?」


「そうだね。あるいはタクシーを使ったとかね」


「タクシー?」


あたしは首を傾げた。
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