沈黙する記憶
「杏が千奈に、夏男に会いに行くと言った事が嘘か。夏男が杏とは会っていないと言った事が嘘か。どちらかということになる」


杏か夏男のどちらかが嘘をついている!?


あたしは目を見開いて裕斗を見た。


馬鹿みたいにポカンと口も開いていたかもしれない。


「嘘をつくなんて……どうして?」


「嘘をつく事で自分を守ることができるから。に、決まってるだろ。千奈だって嘘くらいついたことがあるだろ」


そう言われ、あたしはグッと押し黙った。
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